芸術や学問など、文化の発達にめざましい功績をあげた人に授与される勲章です。
毎年11月3日の文化の日に授与式が行われ、天皇陛下から直接、橘の中央に曲玉をデザインした勲章が贈られます。
文化勲章の授与が始まったのは、1937年2月に文化勲章令が制定されてから、受章の候補者は、文化功労者の中から選ばれるしくみなっており、大学教授や文化施設長らがメンバーの文化審議会の意見を聞いた上で、文部科学大臣が選考し、内閣総理大臣に推薦を行い閣議決定されます。
第1回の文化勲章は、日本画家の横山大観、物理学者の長岡半太郎など9人が受章しました。
毎年5人ずつ選定されるのが定例になっていましたが、2008年度はノーベル賞受賞者が3人出たこともあってか、8人が文化勲章を授与されました。
ノーベル物理学賞を受賞した小林誠と益川敏英、ノーベル化学賞受賞の下村脩を始め、指揮者の小澤征爾、小説家の田辺聖子らが受章しています。
なお、09年度の受章者は、名城大教授で材料科学の飯島澄男、歌舞伎俳優の坂田藤十郎、落語家の桂米朝ら5人、桂米朝は落語界初の受章者となりました。
一方、文化勲章の受章候補に選ばれながら、それを辞退する文化人もいます。
小説家の大江健三郎は、1994年にノーベル文学賞を受賞し、文化勲章の授与も打診されましたが、「民主主義に勝る権威と価値観を認めない」との理由で辞退しました。
またその翌年には、女優の杉村春子が、「自分には大きすぎるもっと自由でいたい。ただ芝居をしていたいだけ」との理由で辞退しています。